ローザンヌ滞在記:6日目

11/23、日曜日。曇り。

昨晩は割と寝付きが悪かったせいもあって,10時にのっそりと起床.朝ごはんはバナナヨーグルト.

起きてすぐ,オーナーに言われて掃除.ゲストハウスの掃除は交代制で行なうことになっているのです. そしてシャワーを浴びて,洗濯機を回す.洗濯機に「15分コース」というのがあって,非常に助かっています. 真夏ならまだしも,冬ならカットソーとかは真剣に洗わなくていいし,下着や靴下,バスタオルなどを選択するのが優先事項. 驚くべきことに,バスタオルが一枚あれば間に合う生活を送れています.バスタオルはたくさんあれば景気良く使ってしまうが,一枚しかないとなるとキモが座って, 1週間に一度洗濯すれば気が済む.家にあるバスタオルは10枚くらいだが,ほとんどいらない気がしてきた.

そして洗濯物を乾燥機にいれ,90分の乾燥コース.乾燥機,めっちゃいいです.我が家にも欲しくなってくる…! …が,家の近くのランドリーで数百円で済ませたほうが,いろいろとリーズナブルだと思うので,買わないでしょう.

その後,掃除機をかけて,出発.今日はモントルーというリゾート地を散歩しようと思っているのです.地下鉄に乗って,10分ほどでGareに到着.フランス語でGareは (大きな)「駅」という意味です.発音は「ガふ」と「ガぐ」の間くらいの「ガフ」.特急の切符を買って,パン屋で水とパンを購入し,やや走り気味で特急に乗車. 無事に着席し,パンを頬張りつつガイドブックぺらぺら.

14時頃に到着すると,何やらすごい人だかり.なんやこら,と思ったら…そう,クリスマス・マーケットが昨日から始まっていたのだった.

そう,ついにやってしまった.「ひとり フェスティバル」.

福岡にもいくつか大きなフェスティバルやお祭があるが,さすがに1人で行ったことはない.そんな勇気はない.しかし,外国では平気でそれが出来る. 日本に帰ったら,外国人のフリをして,お祭りにぼっち参戦してみるのもいいかもしれない.日本語で話しかけられても「sorry, I do not speak Japanese」などと言って, 1人で外国人ごっこするのも,楽しいかもしれない.

さて,予想外の出来事に1人でテンションを高め, マーケットの通りを歩く.途中でおみやげを買ったり,写真を撮ったり,(英語をあまり喋れないという)老夫婦に写真撮影を頼まれたり.

買ったおみやげは,本のしおり,やけどかなり丈夫な代物.思わず自分のぶんも購入.素敵なものでした.そのしおりを物色している時に,となりにいた韓国人の(可愛らしい) 女の子がやたら近寄ってきたので,たじろいだ.もう一個となりにいた彼氏と間違えていやしないか…

その後,ちょっとしたアーケードに入る.クリスマス・ティーや,お酒やらが売っている.パンだけでは物足りなかったので,クレープと,ホットワインでお昼ごはん.

ホットワインは,vin chaud(ヴァン・ショー)といいます.ここのシステムが非常に優れているのは,「エコカップ」があって,デポジットでカップを受け取り,それを使いまわして 飲み物を楽しむという点.デポジット返却は飲み物を売っている屋台ならば基本的にどこでも可能でした.ただ,僕がヴァン・ショーとエコカップのお金を払った店員さんは, まったく英語が喋れないようで,仏頂面・無言で対応してきた.去年,フランスに住んだ時に最も辛かったのが,実はこれ.フランス語が喋れない人はフランスでは人権はなかったのだ. そんな対応に慣れていた僕は,最後「merci」とお礼を言う余裕まで見せて,ワインを楽しむ.非常に美味しかった.もう一杯いきたかったが,ついつい飲み過ぎてしまうのがワインのいけないところ. 一杯でガマンして,デポジットのキャッシュバックを受け取る.

レマン湖畔の道沿いを何度もぐるぐると往復する.実に楽しい.フレディー・マーキュリーのスタチューの撮影をしたり,レマン湖アルプスの 写真を何度も撮ったり. 3往復くらいはしただろうか.その道中にマフラーを落としてしまったようで,暖かそうなマフラーを購入. 放水しているように見える蛇口とかのトリックを楽しみつつ,大満足してスタート地点に. リュックで少し肩凝りを感じたので,カフェで一休み.おもむろにパソコンを取り出し,明日までにやりたい計算を行なうことに.

ここローザンヌには,2つのトピックについて取り組みたくてやってきた.しかし,Laurentの前でそれを話すと,実はまったく関係ないと考えられたそれらのトピックが, 強い結びつきを持っているということに僕は気づいたのだった.実際のところは,社会行動を研究するうえで非常に重要な,neighbor-modulated approachというのがあるのだが, それをより深く理解するために,僕は試しに計算をしていたのでした. で,その試しに作ってみたモデルの解析を行なうと,それが実にクリアーな結果につながったのが昨日の夜.夜更かししてしまったのは,帰宅してからも計算を行なったせいで 頭が冴えてしまったことにも原因がある.夢にもその計算内容が出てくるくらい.僕は寝ている間にも,計算を行なっていることがあるのです.それが実は研究の上で まさに目覚ましいアイデアにつながることがある.寝ながら研究できるなんて,なんて恵まれているのでしょう.寝ながら食事や掃除もできればいいのに.

16時半ごろ,混んできたし店を後にする.本当はとなり町のVevey(ヴヴェイ)という街にも遊びに行きたかったのだけど,曇ってるし,暗いし,諦めてまっすぐに帰宅. 電車の中でも微分計算をごりごり.といってもパソコンの画面上で,数式編集ソフト(MathType)を使って微分計算.気づいたのだけど,手計算よりもMathType上で やったほうが,微分計算はかなり捗る.もちろん,程度問題ではあろうが,数式がある程度,次数の低い有理関数的(たとえば,\( f(x)=(x^{2}+x)/(1-x+x^{2}) \)とか) なら,手計算するよりもMathType上でやったほうが,だいぶん速い.Mathematicaを使えよってのは,ここではナシで.Mathematicaを使わないとできない手計算は, 解析的に出来たとは言えないのです.

18時過ぎに帰宅.パスタを茹でつつソーセージを炒め,火が通ったころに,刻んだカマンベールチーズを投入し,パスタのゆで汁でとろみをつける. そして十分にお湯を切ったパスタを入れ,強火で炒める.とろみが失われる前に,白だしを大さじ2杯いれて,和スープ風に. 水分が飛んだあたりで更にうつすと,和風ペペロンチーノ.和風の要素はダシにしかないけれど,めちゃくちゃ美味かった.

19時ごろに食べ終わり,緑茶を入れてホッとしつつ計算を続ける.インテルミランの試合を,Mと観ることに. ヨーロッパに暮らす最大のメリットの1つは,文化的な生活時間帯にヨーロッパサッカーをライブ観戦できることです. 前半開始しょっぱなに,ムンタリがstupidなパスミス,それをイカルディがstupidに外す….Stupidだ,とMと共感. 長友は先発だが,本田はベンチ(後半途中から登場).正直,内容はあまりおもしろくなかったが, エルシャラウィとメネズ2人で崩して,最後はメネズがくるっとひねって入れたミランのゴールは 綺麗やった.後半にはジョエル・オビがミドルで同点ゴール.その後は,コバチッチやエルシャラウィがポストを叩いたくらいで,決定機はなく終了. 本田もミドルシュートがあったが,キーパー正面でした.しかし相変わらずすげえキープ力…!

そんなこんなでそのまま試合終了.インテンシティに欠け,ファウルの荒いゲームでした. 正直,数年前とくらべてミラノダービーの面白みは薄いですよねえ.昔はミラノらへんに王権があったが,いまはもはやトリノらへんにしかなく, しかもそのトリノのクラブはCLではボロボロやし.内弁慶ですよね.ただし,ポグバはいつか世界一のミッドフィルダーになるでしょう. ミランはいまや,衰えた選手がいくチームのようになっているし (トーレス,ムンタリ,アレックス,エッシェンパッツィーニメクセスなど…全盛期の過ぎ去った選手たちが集う). あ,でもボナヴェントゥラっていう選手は若いのにうまい. インテル側は,若手を中心に構成しているが中堅どころが多く,真のワールドクラスといえばそれこそ長友とエルナネスくらいなのではないか.

とまあ…非ッ常に充実した一日でした.ちなみに,マフラーはなくしてなかった.家に置いてあった….Laurentに明日議論しようってメールを送って,そのまま就寝.また良い1週間となりますように.