ローザンヌ滞在記:10日目

11/27、木曜日。小雨。

8時頃に起床して、さっとシャワーを浴び、洗濯を済ませて、乾燥機へ。 朝ごはんにパンとヨーグルト、そして緑茶を楽しみ、9時前に出発。最寄りのスーパーでタオルとコーヒーを作るためのやかんを購入。これで日本でもモカが作れるようになる。問題は直火対応かどうか…

大学には9時半過ぎに到着。電車通勤の楽しみはズバリ、本を読む時間をたっぷり確保できる所にあるだろう。実際、キンドルで読みまくっている。正直、Curious BehaviorもKindle版を買えばよかったなあ、と少し反省。

11時半ごろ、昼飯へ。今日はなんか会話がバラバラで楽しかったが、みんなはピザをまるごと一枚(日本でいうスモールサイズ?)を食べていて美味しそうだった。僕はパスタと羊肉。

昼飯から戻ってネコを愛でていると、首元に、マダニを発見して衝撃…。Ouch!ということでネコは飼い主(おったんかい!)のもとへ引き取られていきました。 なんてこった。。。「ネコ マダニ」とかでググルと結構出てくる。しかし、、、、有効な処置法はようわからんかった。とりあえず石鹸で手を洗っておいた。

14時ごろ、Laurentからメールがあり、オフィスに来てくれとのこと。議論か、いいだろう、キリいいし、ということで彼のオフィスを訪ねて議論する。 結果については「Perfect!」と言われた。もう、目をつぶってもNeighbor-modulated approahは使えると思います。

で、本題は議論ではなく、夕食にいこうという話だった。お子さんもいるらしいので(それが理由になる理由はよく解らなかった)、今日はいいかい?と言われたので、快諾。

居室に戻ると、部屋のノックが。ドアが開き、エイジァンな方が部屋を覗きこむ。「こんにちは」って言われて「ふほっぉ、こんにちは」とか言ってしまった。どうやらここでポスドクをされているらしい(噂は聞いていた)。 色々と話をして、またね、と。

そのあと、フランスの空港へのアクセスで一番いいのは何かとか、オフィスメイトに尋ねる。モンペリエへ行くためです。 最初は、Lausanne[電車]→Lyon[飛行機]→Montpellierというプランを考えていた。 が、そうか、、、LausanneからGeneva経由で、新幹線でぴゅーんなのだ。 時間を調べてみると、福岡から静岡までくらい(5時間)。行けるな!ということで、電車で行くことにした。

モンペリエで毎度つかうゲストハウスも、1週間で2万円程度で泊まれるみたいやし、今週末にでも予約します。Montpellier Again!!!!

18h30ごろ、Laurentのオフィスを訪ね、一緒に出かける。色んな世間話をしました。 九大の空港はめっちゃ近い!防音設備は脆弱。ボロい。引っ越しがあるので、大学側も、ボロキャンパスの修繕には金をかけたくない。 電車通学は、車内で本を読む時間が確保できるので、悪くない。 なぜ九大を選んだのか?という質問には、"Because there is [My supervisor]"と答えておいた。

寿司屋につくや、まず話をしたのは僕の経歴についてでした。 僕の指導教官は日本語で教科書を書いている。それを大学一年生の時に発見して、こんな分野があったんか!と感動して、数理生物学に興味を持った。 その後、数学科に転学科して、数学科の教授から呼び出されて面接を食らうも、たまたま僕が複素解析のテストで非常にいい点数をとった時の担当の教授が面接相手で、褒められて、転学科が認められた。

まず、昆虫の分布がどのように決定されているのか、というものに興味を持った。そのためのひとつの方法は、移動分散の進化である。すると、OhtsukiさんにHamilton & May (1977)という論文を教わり、勉強してみた。 さっぱり分からない*1。 が、ロジックは(別の和書を見て)理解したので、宿主・寄生者の進化に適用した。

その後、Frank (1998)という黒本に出会った。そしてneighbor-modulated approachを学んだが、育種値で微分するというのは実に摩訶不思議な魔法に思えた。 解析を終えて指導教官の前で発表すると、かなり強い抵抗にあった。その抵抗は自然で、育種値などというイマジナリーな数で適応度を微分するなんて、ナンセンスだ、というのが彼の論調だった。 僕は何も答えられなかった。しかしその後、論文を書いて、読んでもらったら、おそらく先行研究を読んで勉強してださったようで、理解してもらえた。 そして、Rousset (2004)という赤本を、Ohtsukiさんに教えてもらって、読んだ。

が、これもまた難解で苦労した。2年以上かけて、何度も何度も繰り返し読んだ。

また、具体的な研究の話もしました。

同類協力。緑髭効果。アダプティブダイナミクスによる種分化。Nowakの協力行動進化の理論では常にweak selection。Yohの射程圏の広さ。Ezoe & Iwasa (1998)。 stochastic stable statesという概念。Kuhn-Tucker's theoremの有用性。Moran過程での移動分散モデル。Grafen (2006)。Frankの、JEBのレビュー集。

非常に楽しい時間でした。実は21h00から別のお誘いがあったのだけど、時間を忘れて議論してしまいました。ちなみに、寿司屋は日本のものの味に近く、とてもとても美味しかった! Laurentにご馳走して頂きました。ビールはキリンとアサヒ。

その後、帰宅して歯磨きして、すぐ就寝。

*1:Hamilton & May (1977) "Dispersal in stable habitats" Nature. すばらしい論文だがひどい論文である。方程式が全く見つからず、ESSをどうやって計算したのかまったく分からない!